凶悪化し続けるウイルス…変異株… その仕組み、こっそり教えましょう。
「た…大変です!!コロナウイルスの新しい株、【δ(デルタ)】が確認されました!」
最近のNEWSと言えばずっとこんな話題…気が滅入りそう…
いつになれば、『今日のわんこ3時間スペシャル』みたいな平和なNEWSを放送してくれるんですかね…?(絶対にない)
余談はさておき、みなさん "ウイルスの変異株" という言葉は既にご存知ですよね?
この記事を書いている今現在は、コロナウイルスの変異株【δ株(デルタ株)】が猛威を奮っています。
δ株で "ウイルスの変異" が穏やかになっていますが…そもそも…ね…
「ウイルスの変異ってなによ!?」
「何で変異すんのよ!?」
って思いませんか!?しかもソコ教えてくれないし!!
と言うわけで今回は、"なぜウイルスは変異するのか" についてこっそりお話しします
なぜこっそりかって?
(ウイルスくんが近くで聴いてたら…どうするんですか…ボソッ)
生物が持つシステム "転写" "翻訳" とはなにか?
僕らがこうして毎日何事もなく生きていけるのは、"細胞" が "細胞分裂" をして、体の成長や機能をアップデートしてくれてるからです。
前回の記事で "細胞分裂" を行うには、細胞の設計図である "DNA" が必要だと言いました。
もし読んでない方がいたら、こちらをどーぞ
tunamayon.hatenablog.com
DNAは、体全ての設計図を収納してる、言わば『本のようなもの』です。
作りたいパーツ(タンパク質)の設計図が欲しいときは、RNAという形で本の中からコピーを行います。
このRNAを読むことによって、パーツを大量生産するんですね!
(正確には "mRNA (messenger RNA)" と言いますが、ここではRNAと言います)
この過程に生化学の専門用語があります。
DNA→RNAの過程 : "転写"
RNA→パーツ(タンパク質)の過程 : "翻訳"
これを覚えておけばドヤれるので、覚えておくといいかもしれませんね!
ちなみに、
DNA→DNAの過程 : "複製"
と言い、この3つの過程のことを合わせて "セントラルドグマ" と呼びます。
中二病なので自分は速攻覚えた記憶があります笑
実はこの "転写 → 翻訳" という流れは、超絶ウルトラ大事な作業です。少しでもミスったら異常なパーツができてしまい、重篤な病気(ガンとか…)になってしまうかもしれません。
だから生物には、超絶ウルトラ高性能のエラーチェック機能が搭載されています。なので、大抵のコピーミスは取り消すことができるんです。(まじ出木杉くんですね)
ここで本題、ウイルスくんです。
彼らは『自分で自分を増やせないクソザコ』なので、"転写 → 翻訳" のシステムを持っていません…
このシステムを持っていないので他の生物に頼っているのですが、これがウイルスの変異を起こす最大の理由になっています。
次のパートで詳しくお話しします。
ウイルスが持つ独自の機構 "逆転写"
ウイルス達は、僕ら生物とは違い『"DNA" か "RNA" のどちらか一方しか持ってない』と前回の記事で述べました。
"DNAを設計図とするウイルス" は、生物の細胞内に侵入するとその機能を奪い取ります。奪い取ると…
ウイルスDNAを細胞に入れる → 細胞の機能を奪ってたくさんのRNAを作る→ ウイルスパーツを大量に作らせる→ 他の細胞の機能を乗っ取る→ 繰り返し…
というふうに、細胞を働かせます。
この時、使ってる機能は "生物が持つ高性能の機能" なのでコピーミスが起こりにくいのです。
大問題なのは、"RNAを設計図として持つウイルス" なのです。
生物には "RNA→DNA" とか "RNA→RNA" を作る機能はありません。
しかも "DNA" を持っていないので、"RNA" を大量に作ることもできません。
なので、RNAウイルスくんが自分で持ってきた、たった1枚の設計図から何日も何年も時間をかけてチマチマ作っていたら…
病気になるくらいの大量のウイルスができるのに、死ぬほど時間がかかります!!
「さすがにそれは非効率すぎるだろ!!」
いくらウイルスくんもそれは分かってるようで、生物ができない "RNA→DNAの過程" は自分でやってしまいます!
その過程を、『転写の逆のこと』をしてるので "逆転写" と言います。
この "逆転写" が大問題で、クソザコのウイルスくんがやるわけですから、『コピーミス』が頻発します!!!
し、か、も
エラーチェック機能なんてウイルスくんが搭載してるわけないので、『コピーミス』をほったらかしにします!!!
なんて無能なんだこいつら…
ん…?待てよ?でもなんで『コピーミス』が起きると変異するんだ…?
次で解説しましょう。
ウイルスの変異は『コピーミス』にある!
ウイルスの情報を暴けば暴くほど無能な存在であることが分かって、こんな奴らに翻弄されてる人間が惨めに思えてきました…が、
果たして本当に無能なんでしょうか?
例えば、ウイルス設計図の中に『人間の細胞に5秒で侵入できる鍵』というものがあるとします。もし"逆転写" が正確に行われ、さらにエラーチェック機能が搭載されてたら、次に作られるウイルスも『人間の細胞に5秒で侵入できる鍵』を持つことになりますよね?
しかし、実際はエラーチェック機能は搭載されていないので、"逆転写" で『コピーミス』が起きて『人間の細胞に1秒で侵入できる鍵』が作られてしまったらどうでしょうか…?
あ…凶悪になった。
これが "ウイルスの変異" なんです!簡単でしょ?
もちろんウイルスは様々な『コピーミス』をするので、『人間の細胞に10秒で侵入できる鍵』、『人間の細胞に1日で侵入できる鍵』なんてものも作りますが、これらは今のウイルスより劣った性能なので自然淘汰され消えます。
結果、その種にとって凶悪性能になったものが残るカラクリになってたんです。
もちろん、生物のエラーチェック機能も100%ではないので、DNAウイルスも変異をしますが、RNAウイルスの変異のスピードには遠く及びません。人間も同様にエラーチェック機能が見逃すと "ガン" なんて病気につながってくるわけです。
まとめ
この世の生物には様々な『種の保存の仕方』があります。
ウイルスは生物ではありませんが、『あえてコピーミスをするシステムを構築する』ことによって種を保存しているのかもしれませんね!
(無能とか言ってスマン)
「下手な鉄砲、数打ちゃ当たる」とはよく言ったものですが、これほどまでにその言葉を実感できるものはないでしょうね。
いや、そんな生やさしいものじゃないな、「数の暴力」といったらいいのか…
【人類の歴史は、感染症との闘いでもある】
数年…数十年後にはまた、人類は細菌やウイルスと戦うことになります。
専門家じゃない自分たちの武器は "情報" です。
"情報の真贋" を見極めて、この世を巧みに生き抜いてくださいね!
おまけ:YouTube動画
この話はYouTubeでも上げてるので、気になる方は是非見てみてください!